
細菌とウイルスって何が違うの?

いくつか違いはありますが、もっとも大きな違いは、細菌は生物、ウイルスは生物未満の存在だということです。

生物未満の存在???
わたしたちの周りには、細菌やウイルスがたくさんいます。そんな細菌やウイルスが体内に侵入して増殖し、発熱や嘔吐下痢などの症状が現れることを感染症と言いますね。
どちらも病気の原因になるため同じようなものと考える人は多いですが、細菌とウイルスでは病気の治療法も予防法も違います。
とくに小さな子供は抵抗力が弱いため、細菌とウイルスの違いを知り、予防の知識をつけるのは大切なことです。
細菌とは
細菌とは、1マイクロメートル(=1000分の1ミリメートル)から10マイクロメートルほどの単細胞生物のことです。細菌は目に見えないだけで、あらゆるところにいます。もちろん人の体の中にもいます。
イスラエル・ワイツマン科学研究所によると成人男性の体には40兆ほどの細菌が住んでいるそう。細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分かれ、悪玉菌が病気の原因になります。
参考細菌とウイルス | 感染症の基本 | 一般の方へ | かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~
細菌の増殖方法
細菌は周りの栄養源(二酸化炭素や有機化合物など)を取り込んで自分のDNAを複製します。つまり自活して、増殖する微生物です。
たとえば、梅雨時にパンを放置するとカビがどんどん生えますね。これは細菌が自活しているということです。
細菌の種類
細菌にはたくさん種類がありますが、病気の原因になる細菌は大腸菌、ブドウ球菌、結核菌、赤痢菌、コレラ菌、サルモネラ菌などがあります。
ウイルスとは
ウイルスは細菌の50-100分の1程度の大きさしかなく、DNA(or RNA)単体、またはたんぱく質の殻に包まれたカプセル状の粒子生物です。
一応微生物とされていますが、ウイルスは細胞を持たないため厳密には「生物」ではありません。
参考細菌とウイルス | 感染症の基本 | 一般の方へ | かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~
ウイルスの増殖方法
細胞を持たないウイルスは単独では増殖できないため、生物の細胞の中に侵入して核融合し、ウイルスの遺伝子を作らせて増殖します。
つまり生物の細胞に寄生するわけです。そのためウイルスがパンに付着しても、細菌のように増殖はしません。
細菌とウイルスは違うって知っていますか?:朝日新聞デジタル
ウイルスの種類
ウイルスは、一部を除いてほとんどが病気の原因となる寄生生物です。病気の原因になるウイルスは、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスなどがあります。
殺菌・除菌・滅菌・抗菌・消毒の違い

殺菌とか除菌とかって言うけど、何が違うの?

簡単に言うと「殺菌」は薬剤にしか使えません。そのため、台所用洗剤で菌を殺せるとしても「除菌」を使いますよね。

へー。じゃあ殺菌とか除菌の対象って細菌だけ?ウイルスも入るの?

細菌だけじゃなくウイルスも対象です。
殺菌・除菌・滅菌・抗菌・消毒は、1つ1つ意味が違います。
参考「除菌」「抗菌」「殺菌」とは?違いをわかりやすく解説 | Ag+のチカラで持続除菌 | 富士フイルム
殺菌とは
殺菌とは、細菌やウイルスなど有害な微生物を殺すことです。わたしたちの身の回りにはさまざまな細菌がいますが、その中の1種類だけを殺しても殺菌です。
殺菌は薬事法によって消毒液などの医薬品、または薬用せっけんなどの医薬部外品にのみ使える言葉なので、洗剤などの日用品には使えません。
除菌とは
除菌とは、細菌やウイルスなど有害な微生物を取り除くことです。細菌やウイルスを物理的に取り除いて減らすため、殺菌も除菌に含まれます。
家庭用洗剤や漂白剤、ウェットティッシュ、清拭用クロスなどが該当します。アルコール消毒液は、物によって医薬品などや雑貨になる可能性があります。
滅菌とは
滅菌とは、病原性の有無に関係なく細菌やウイルスなどを死滅させて、菌がない状態を作ることです。イメージは「滅菌>殺菌>除菌」ですね。ただ滅菌は期限があり、滅菌がずっと続くことはありません。
仮に滅菌と書かれたガーゼがあっても、使う際は必ず菌が付着します。滅菌が行われるのは主に身体の内側に触れるもので、手術道具や注射針などが対象になります。
抗菌とは
抗菌とは、有害な細菌の繁殖を抑制することです。生物に寄生しない限り増殖することができないウイルスは抗菌の対象外です。
殺菌・除菌の効果はなく、細菌が付着しにくいコーティングなどで細菌の繁殖を防ぎます。抗菌には、どの程度、どのような細菌を抑制するという決まりはありません。
消毒とは
消毒とは、焼却処理、煮沸処理、紫外線処理、薬物処理などで、特定の細菌やウイルスなどの活動を弱らせたり、除去したり、無害化する行為のことです。消毒も薬事法が関係する言葉ですね。
細菌とウイルスから子供を守るためには
細菌とウイルスには、もうひとつ重要な違いがあります。それは病気にかかった際、細菌は抗生物質で破壊できることに対して、ウイルスには抗生物質が効かないというものです。
そのため細菌に感染したら早めに病院に行き、抗生物質を処方してもらえば完治まで短くなりますが、ウイルスに感染した場合は療養して免疫力を高めて治すしかありません。
ウイルス性の風邪やインフルエンザ、ノロウイルス感染症の処方薬は、咳や鼻水、頭痛、下痢など患部の症状を抑える効果で、体内のウイルスを殺す効果はありません。
- 細菌
大腸菌、サルモネラ菌、結核菌、コレラ菌、ボツリヌス菌、破傷風菌、レンサ球菌、ブドウ球菌など - ウイルス
インフルエンザウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス
これを見て分かる通り、わたしたちが一般的にかかる病気の多くはウイルス性です。そのため、抵抗力がない子供や老人はなるべく予防をした方が良いんです。
意識をして殺菌や除菌などの言葉を使い分ける必要はないですが、普段から予防のために抵抗力をつけたり除菌をする習慣を作って、無駄な病気は避けるようにしたいですね。
家の中に余計なウイルスや細菌を持ち込まない、増殖を防ぐためには、次亜塩素酸水で空間除菌をしたり、手指の消毒やうがいをすると良いですよ。
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